日本が誇る、世界で唯一ロータリーエンジンの載ったスポーツカー「RX-7」が生産中止に・・・その淋しい情報からどれぐらいの時間が経ったのだろう？そんなことを思いながら、次世代のロータリースポーツがリリースされた。それが今回の試乗車「RX-8」。時代を反映してか、バリバリのスポーツカーからの変身、スポーツスピリッツを継承しながら使用用途を広げる為の仕様変更で、本当に新しいスポーツカーになってきた。
　まずは気になる試乗フィーリング、巷の噂では、やれ「パワーがないの〜」「トルクがないの〜」と言う噂話をよく耳にした。しかし、私のマイカー講座ではそんな巷の意見は関係ありません。自分の中で作っている基準で今回も評価いたします。今回の試乗車では加給器（ターボ）は装着されず、NAエンジンだけの力で出す出力をユニットとする為、確かにパワーダウンはしています。しかし、過激なスポーツカーの部類に入る「RX-7」と比べての話だ。単純に新しいロータリー車として受け入れれば、コスモより軽くセブンより、扱いやすく、ジョーダンみたいなリヤシートを使えるように進化させたことで、随分と用途の広い車になっていると思う。試乗車がマニュアル車ということもあり、中途半端なスポーツカーより、ワインディングはよほど楽しめた。
　ロータリー信者の目からすれば不満が出るのであろうが、加給器にたよる加速感はもはやメーカーが作ることは小排気量車以外では、時代遅れであると思っている私には、今回の試乗車「RX-8」はヒットポイントの多い車である。操作性、限界性能、乗り心地、加速感、意外にヨーロッパ的で、広い範囲の顧客層がつかめそうな気がする。特に歴代のロータリーと違う点はエンジンルームが熱すぎない事である。まだカタログを読んでいないのでなにを施しているのかは不明だが、ボンネットを開けた感じだと熱くなりやすいロータリーエンジンを上手く冷やす冷却ユニットとカバーレイアウトを追加したのではなかろうか？NAロータリ−でトルクを結構出せているのはこの冷却が大きく貢献しているはず。12A、13BのNA時代のロータリーと比較するのはいかがとは思うが、かなり、燃料的にポイントを絞られたインジェクション（燃料の出具合）の設定と思われる。燃費を良くするために設けられたパワーバンドが、トルクを細く感じさせる・・・？感じが、裏目に出ているのかもしれないが、十分楽しいし、噂に聞くほど燃料計の針は動かなかった。この運動性能で、使い勝手がついてくるなら、随分と力の入った車と評価すべきだろう。価格設定も意外と安く、本来の設定に戻ってきたような気がする。ヒジョーに良いことだ。
　余談ではあるが、車格相応の価格帯。これは大事なことである。凝った作りをしたからと、メーカーが独りよがりな価格設定をしてはいけない。特殊なクルマを除けば、売れ行き不振はすぐにやって来る。今回追加された、デミオのロープライス設定はそれを物語っている。この車は、マニア的に言えば、物足らないのかも知れない。しかし、私は、この車でセブンでなく「RX-8」とネーミングした気持が少し理解できたような気がする。そんな粋が解る乗り手は一体どんな人だろう。また楽しそうなクルマが増えた。いいことだ。
　やっぱ〜くるまはのってみにゃ〜わからんけ〜！